「僕と美織は、唯一無二の親友なの」
断言するたっちゃんを前に、もう何も返す言葉は浮かばなかった。
ナルは……男女間の友情なんて絶対に成立しないと言ったけど、多分、たっちゃんとミオの間には間違いなく成立しているんだ。
性別なんて関係ない。
誰がなんと言おうと、本人たちの気持ちさえあれば、友情は成立する。
それは年齢だって関係ないし、人種だって関係なかった。
結局、本人たち次第なんだろう。
『相手を思いやる気持ち』さえあれば、どんな関係であろうと成り立つ、かけがえのないものだった。
「アンタが追いかけなかったせいでね、美織、酷い目に遭ったんだよ」
「え……?」
「アンタから貰ったイヤリングを片方落として、長時間、雨の中を探してたみたいなの。そのせいで酷い風邪を引いて、四日間も学校を休んで……今日やっと登校してきた。それなのにアンタと言えば、呑気に家に帰ろうとして……。ほんと、僕が美織だったら、アンタみたいなヘタレ、願い下げだよ」
そう言うとたっちゃんは、鞄の中から"あるもの"を取り出して俺の前に差し出した。



