「ハァ〜〜……」
金曜日の今日こそ、放課後に思い切って学校まで行くべきだろうか。
それとも家まで行くべきか……。
だけど、そこまでしたらやり過ぎな気もして、どうすることが正解なのかわからなくなっていた。
……もしも俺が、ミオの彼氏とかだったら堂々と会いに行けたのかもしれない。
こんなとき、ナルなら客観的かつ冷静なアドバイスをくれるのかもしれないけれど、そのナルともあの日以来、一度も口をきいていなかった。
……まさか、こんなことになるなんて。
思い出すのはあの日──ミオが俺達の前から立ち去ったあとの出来事だ。
『ミオ……っ、待って……‼』
走り去るミオを慌てて追い掛けようとした俺を、ナルの力強い手が掴んで止めた。
『ユウリ……っ。俺、お前に話しておかなきゃいけないことがある……!』
『でも今は、ミオを追いかけないと──』
『わかってる! わかってるんだけど……っ、あの子を追いかける前に、まずは俺の話を聞いてほしい……っ』
『……ナル?』
あの日、初めて見るナルの必死な表情を前にしたら放っておけなくて、後ろ髪を引かれながらも、俺はナルの話を聞くことにした。