『それで……どうなんだよ。愛美さんは今、好きな奴とかいるのか?』
だけどトウヤくんは私の友達だから、特別だった。
私は彼の恋が実ればいいと心の底から思っていたし、誰よりも彼の恋を応援したいと考えていた。
『好きな人がいるかどうかはわからないけど、彼氏はいないよ』
『……そっか。そうなんだ』
『でも、お姉ちゃん、家でもときどきトウヤくんの話をするし、もしかしたら特別に思ってるのかも……』
『マジで?』
『うん、マジで。だから、頑張って。私、トウヤくんのこと応援してるし、トウヤくんがお姉ちゃんの彼氏になってくれたら嬉しいよ』
──言葉にしたことは全部、本心だった。
トウヤくんは初めて私をお姉ちゃんと比べずに見てくれた人だったから、そんな彼の恋が実ればいいと、心の底から願っていたんだ。
『ありがとう。俺、頑張ってみる』
だけどその数日後、お姉ちゃんから思いもよらない報告を受けることになる。
『……トウヤくんから告白されたよ。でも、断っちゃった』
『え……え? なんで?』
『だってトウヤくんは年下だし、可愛い後輩っていうか……最初から、友達としか見れなかったから。私、他に告白してくれた男の子と付き合ってみようと思ってるの』
ふわりと、いつも通りの笑みを浮かべたお姉ちゃんを前に、頭の中は真っ白になった。



