「も……もしかして、興味あるんですか?」
「そ、それは──…っ! 興味がなかったら、わざわざここでずっと待ってないというか……気になるからどうしても会いたかったというか……」
「あー……俺、もう何言ってんだろう」と続けた彼を前に、感動にも似た感情が沸き上がった。
……これは、まさかの展開だ。
だってまさか、この親切なイケメンさんが、この本について話したくて私を待っていてくれたとは思いもしない。
「だから、あの……」
「こ……この本は、小春(こはる)さんという方が書いた本です」
「え……」
「私、この人の書く本が好きなんです。これは恋愛指南書だけど、普段は恋愛小説とかも書いている人で、ファンなんです……」
嬉しくて、思わずハニカミながら答えていた。
すると、斜め下に落ちていた彼の目が弾かれたようにコチラを向いた。
もう、恥ずかしくもなんともなかった。
だって目の前にいる彼は、私の何倍も恥ずかしかったはずなのに、勇気を持ってこの本について聞きに来てくれたのだ。



