俺の「好き」は、キミ限定。

 


『トウヤくんって、カッコイイし面白い子だね? トウヤくんが彼氏だったら、彼女もきっと幸せなんだろうな』


そんな日が続いた、ある日の放課後。

お姉ちゃんは、そう言ってトウヤくんを前に天使のような笑みを浮かべた。

あのときの、顔を赤く染めたトウヤくんの表情は、今でもハッキリと目に焼き付いている。

私は……その光景を遠巻きに見ながら、友達だと思っていたトウヤくんとお姉ちゃんが、どこか別の世界の、キラキラした存在のように思えて眩しかった。


『……なぁ、愛美さんってさ、好きな人とかいるのかな?』


それから一週間も経っていない頃だろう。

トウヤくんと二人きりになったときに、不意にトウヤくんが私に尋ねた。

ほんのりと頬を赤く染め、視線を斜め下へと落としたトウヤくんの気持ちはバレバレで、なんだか少し、私までくすぐったい気持ちになった。


『トウヤくん、お姉ちゃんのこと好きなの?』

『バ……ッ、そういうことハッキリ言うなよ!』


昔から、天使のように可愛いと評判のお姉ちゃん。

そんなお姉ちゃんに告白する男の子はたくさんいたし、別にトウヤくんだけが特別というわけではなかった。