『うん、白坂愛美は私のお姉ちゃんだよ』
一つ年上のお姉ちゃんのことは、学校にいる誰もが知っていたし、その妹が私なのだということも、ほとんどの人が認知していた。
『そっか。そうなんだ』
『うん、そうなの。姉妹なのに、私とお姉ちゃん、全然似てなくて驚くでしょ?』
『そう? 別に驚かないけど』
『え……』
『だって愛美さんは愛美さん、シラサカはシラサカじゃん。似てるとか似てないとか、実際そんなのどうでもよくない?』
あのとき、さも当然のように言ったトウヤくんだったけど、私は彼の言葉になんとも言えない衝撃を受けたことを今でもはっきりと覚えている。
お姉ちゃんはお姉ちゃん。私は、私──。
そんな、当たり前のことを当たり前のように言ってくれる人に、私は初めて会ったのだ。
『愛美さんだって、そういうことを気にするタイプじゃなさそうだし?』
だけど、今になって考えてみたら、あのときには既に、トウヤくんはお姉ちゃんのことが好きだったんだと思う。
そのやり取り以来トウヤくんとは委員会も同じだったこともあり、姉妹揃って帰るときには一緒になって、三人で帰る機会が増えていった。



