「ねぇねぇ、ユウリくん。これ……あの、シーグラスみたいじゃない?」
「え?」
「ユウリくんから貰ったシーグラスと同じ色……。海を閉じ込めたみたいで、すごく綺麗……」
──シーグラス。
それは以前、ミオと二人で海に行ったときに、俺が偶然拾ってミオに渡したものだった。
同時に、あの日のミオの言葉が脳裏をよぎる。
『だから多分この先も……お姉ちゃんが磨かれた宝石だとしたら、私はこの不格好な、シーグラスのままなんだと思う』
あのときミオは、そう言って寂しそうに笑ったけれど……。
長い時間をかけて傷ついて、波に揉まれて角の取れたシーグラスは、もしかしたらミオの言うとおり、ミオと似ているものがあるのかもしれない。
だけどそんなふうに出来上がったガラス玉は、人工的に磨かれた宝石よりも、何倍も価値のあるものだと思うんだ。
「気に入ったなら、それにしようか?」
「え……」
「すみません、これください。できれば、プレゼント用にしてもらえますか?」
声をかけると、お姉さんは嬉しそうに笑ってミオの手からイヤリングを受け取った。
そして手早くそれを包装したあと俺の手からお金を受け取って、また花が開いたような笑顔を浮かべる。



