俺の「好き」は、キミ限定。

 


「わぁ……可愛い……」


隣のミオが、思わずといった様子で感嘆の声を漏らす。

と、同時に、ワゴンの後ろに座っていたお姉さんが俺達の前にひょっこりと顔を覗かせた。


「ありがとう。どれも私の手作りなの。気に入るものがあれば、実際手に取って見てくれていいからね」

「え……っ、これ全部、お姉さんの手作りなんですか⁉」

「うん。私、この近くのデザイン専門学校の卒業生で……。学生時代はそこで、プロダクトデザインの勉強しててね。将来は、ジュエリーデザイナーになるのが夢で」

「ジュエリーデザイナー……」

「ふふっ、そう。だから自分の腕試しみたいなものなんだけど、でも、ひとつひとつ大切に作ったものだから、どれも全部オススメ品なの」


ふわりと花が開くように笑ったお姉さんは、とても綺麗な人だった。


「すごい……どれも、全部可愛い……。この、COSMOSって……?」

「ああ、うん。それは一応、格好だけでもショップ名みたいな感じ。おばあちゃんの名前と、私の名前を組み合わせて作ったもので……」


お姉さんの説明を聞きながら、ほぅ……と息を吐いたミオは、ワゴンの商品に魅入っている。

その姿を隣で眺めていると、ミオがふと、あるもののところで目を止めて、徐ろに手を伸ばした。


「これ……」


ミオが手に取ったのは、綺麗なガラス石がついたイヤリングだった。

半透明の淡いブルーの石を、ゴールドの針金がぐるりと包み込んでいる。