「……あ、そうだ。そしたらさ、これから一緒に探しに行かない?」
「探しに?」
「うん。それで、ミオが気に入ったものをプレゼントさせて。……よし、そうと決まれば行こう。とりあえず、前に会ったステーションビルとか行ってみようか」
善は急げだ。
クッキーの入った袋を丁寧に鞄の中にしまった俺は、ミオの手を取り立ち上がった。
「で、でも、私……。ユウリくんに、いつも貰ってばかりだし……っ」
「そんなの、別に俺が勝手にしてることだし、貰ったって言ってもシーグラスと水族館のときくらいだろ? だから今日はできれば、ミオが身につけられるものをプレゼントできたらって思ってるんだけど……」
「私が、身につけられるもの?」
「……うん。会えない日もミオに、俺を思い出してもらえるように。だから結局、全部俺の、ワガママだから」
繋いだ手は、ミオを家に送り届けるまで離すつもりはない。
そう言って笑うと、ミオはまた顔を真っ赤にして俯いた。
「行こう。ミオが気に入る何かが、見つかるといいけど」
俺の言葉に、ミオは返事をしてくれない。
だけどこうして、二人で放課後デートに繰り出せる口実ができただけでも嬉しかった。
歩き出すと、掴んだ手をギュッとミオが握り返してくれる。
思わず振り返れば上目遣いのミオと目が合って、また胸の奥が痛いくらいに締め付けられた。
✽ ✽ ✽
「う〜〜〜、なんか、ごめんね……」
あのあと二人で電車に乗って、ステーションビルに立ち寄り、いくつかのお店を見てまわった。
服や、アクセサリー、小物まで……。
一通りは見たつもりだけど、コレ!というものは見つからなくて、結局ビルを出てきたところだ。
外に出ると陽が傾き始めていて、もう今日という日にはあまり時間は残されていなかった。



