俺の「好き」は、キミ限定。

 


「ミオ、俺……」

「そ、そしたらこれで、今回のレッスンは完了だよね……!」

「え……」

「"何気ない日にプレゼントを贈ろう"、は、無事に完了しましたって、日記にもつけないと……!」


急に早口でそう言ったミオは、一人でベンチから立ち上がろうとする。

そんなミオの腕を慌てて掴んだ俺は、咄嗟に考えていたことを口にした。


「いや、まだ俺からミオに何もプレゼントできてないし!」


ミオから一方的に貰っただけじゃ、レッスン完了とはいかないだろう。

何より俺が、納得いかない。

俺だって、ミオに喜んでもらえる何かを贈りたいと思っていたのに……。


「でも、ユウリくんにはこの間の水族館のときにチケットを買ってもらったりしたから……」

「アレはアレ、コレはコレだろ! って言っても、ミオが何を貰ったら喜ぶのか、わからなくて……」


だから今日は、プレゼントを用意できなかった。

今日ミオに会ったら、何か欲しいものはないか聞くつもりだったんだ。