「いや、俺が貰ったことあるのは、中学の時とかだから……!」
「やっぱり、貰ったことあるんだ……。そうだよね……」
何故かシュンと肩を落としたミオを前に、焦りばかりが募ってしまう。
俺、なんかマズイこと言った?
「中学の時とか、もう何年も前の話だし……! 俺、貰ってこんなに嬉しい気持ちになったのはミオが初めてだよ? それに、ミオがこれからも俺のためにクッキー作ってくれるって言うなら、もう誰からも手作りのお菓子とか受け取るつもりないし、絶対」
ジッ……とミオの目を見て言うと、ミオは顔を真っ赤にして俺から目を逸してしまった。
「ミオ……?」
ギュッ、と相変わらず膝の上で手は握りしめられている。
何かを言いたそうなのに堪えているミオの様子に不安になって、思うように続く言葉が出てこない。
「ユ、ユウリくんって、ズルい……」
「え?」
「そんなふうに言われたら、深い意味はないってわかってても舞い上がっちゃうよ……」
深い意味はない?
舞い上がっちゃうって……それは、一体どういう意味で……。



