「友達って言われたこと以外にも、何か引っ掛かってることがあるのか?」

「うん、まぁ。詳しいことは言えないけど、ミオ、中学生の頃に嫌な思いをしたことがあるみたいで……」


それは以前、ミオと海へ行ったときに、ミオ自身から聞かされた話だった。

『中学生のときにもね、友達だと思ってた男の子が、実はお姉ちゃん目当てで私に近づいてきてたってことがあって』

『そのとき、その男の子にも言われたの。"お前なんて愛美さんのオマケのくせに"……って』

そう言ったときのミオは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

過去、ミオは友達だと思っていた男に傷つけられたことがあるんだ。

ミオがその男のことをどう思っていたのかはわからないけれど……。

随分、酷いことを言われたのだと言うことだけはハッキリわかる。

それにミオはその男以外からも、これまで何度も自分のお姉さんと比べられてきたらしい。

そんなミオなら、今、友達だと思っている俺に対しても慎重になっているに違いない。

たっちゃんだって……それがわかっていたからこそ、予め俺に忠告をしたんだと今ならわかる。

ミオを絶対に傷つけるな、って。

過去、何度もお姉さんのことで傷ついてきたミオだから、もう二度とあんな思いはさせたくないと思って……。

ミオの親友であるたっちゃんも、事前に俺に釘を差した。