「浮かれたり落ち込んだり、忙しい奴だな」


週明けの、朝の教室は一段と賑やかだ。

ミオとのデートについて報告した俺を前に、ナルはあからさまに呆れた顔をした。


「っていうか、そこまで言ったなら、さっさと告白すればいいだろ。ミオちゃんって子も、まんざらでもなさそうだし」


いわゆる棒読みに近い言い方をするナルは、気だるげに手元の漫画のページを捲った。


「確かに、それはそうなんだけど……。でもさ、友達宣言されたばっかりだし、何より、ミオは……」


言いかけて、口を噤む。

確かにナルの言うとおり、昨日は告白するには何度もチャンスがあったように思う。

実際、ミオを家まで送った帰り際に、告白しようかとも考えた。

だけど、ふと……ミオの後ろに建つ家を見たら"あること"を思い出して、踏みとどまってしまったんだ。