でも、どうして……。
思わず顔を上げて声を掛けてきたその人を凝視する。
まさか。まさか──。
「朝、急いでたみたいだったから。俺も追い掛けられなくて、ごめん」
見覚えのある、星のマークが特徴的なネイビーのスニーカー。
柔らかに揺れる、黒髪。
申し訳なさそうに私の顔を覗き込む彼の目は綺麗な二重で、澄んだビー玉みたいな瞳には小さな私が映っていた。
スッと通った鼻筋に、形の良い唇は優しく弧を描いている。
細身なのに引き締まった身体は男の子らしく、私のよく知るたっちゃんとは違った空気を纏っていた。
まるで『爽やか』という言葉を、そのまま具現化したような男の子だ。
笑顔はとても眩しくて、つい、彼に見惚れてしまう。
カッコイイ──という表現は、彼にはピッタリだとも思う。
それほど今目の前にいる彼は、誰が見ても整った容姿をしていた。
