俺の「好き」は、キミ限定。



 ✽ ✽ ✽



「──あ、見つけた」


その日の放課後、いつものように学校を出た私は一人、駅へと向かった。

唯一、髪質だけは姉と良く似ていると褒められる髪は、歩くたびにふわふわと風に揺れる。

改札が見えて鞄から定期入れを取り出して、いつも通り駅の中に入ろうとした。


「今朝、渡せなかったから」


そう。

その声が、私に向けられたものだと気づくまでは、いつも通りの帰り道だったのだ。