「ミオ……男の子と手を繋ぐのは初めてって……。え、たっちゃんとかは?」
「た、たっちゃんは確かに男の子だけど、手は繋がないもん……! たっちゃん、友達同士で手を繋いで可愛いアピールとかする女子が嫌いなんだって……」
「か、可愛いアピール?」
「……うん。そんなことしなくても、可愛い子は可愛いから関係ないって……。だから、私……今まで一度も、男の子と手を繋いだことなくて……」
段々と語尾をすぼめたミオは、空いている方の手でスカートの裾をギュッと掴んだ。
たっちゃん……ありがとう……。なんて思っている俺は、たった今聞かされた事実が嬉しくてたまらなかった。
「手……あの……汗とか、かいちゃったら、ごめんね?」
おずおずと俺を見上げて言うミオが可愛くて、もう、どうしようもなかった。
っていうか、めちゃくちゃ嬉しいんだけど。
普通にヤバイし、いや……なんかもう、色々我慢するのも辛くなってくる。
「ユウリくん?」
「……っ、ごめん。嬉しくて、勝手に顔がニヤける」
結局、溢れる感情を隠すことはできなくて、ミオと繋いでいない方の手で口元を隠した。



