俺の「好き」は、キミ限定。

 


「……よし」


覚悟を決めたら自然と背筋が伸びて、前を向けた。

早くミオに会いたくて、放課後になるのを待ち遠しく思った。


 ✽ ✽ ✽


「ユウリくん、お待たせしました……!」


その日の放課後、いつも通り駅前で待ち合わせた俺達は、連れ立って電車に乗った。

隣り合わせに座ってみると、ごく自然と腕が触れ合い、身体と身体が密着する。

ほんの数週間前までは、こんなふうに二人並んで一緒に帰る日が来るなんて思ってもいなかった。

そう考えると俺達の距離は確実に近づいているはずなのに、どうしてか心だけは"友達"という言葉が邪魔して遠くなってしまった気がする。


「あ……それでミオ、今度の休みの話なんだけど。ミオ、どこか行きたいところある?」


なんとなく、"デート"という言葉を使うのは(はばか)られた。

だって、俺のことを友達としか思ってないミオからすると、もしかしたらデートだなんてこれっぽっちも思ってないかもしれないし。