「私、いつかホントに恋ができるかな……」
「まぁ、それはいつかはできるんじゃない？ だけど、そもそも美織の場合は、お姉ちゃんのことがあるから。そのせいで、恋愛に臆病になっているのが一番の原因でしょ？」
「……っ」
不意打ちだった。
指摘され、ズキリと胸が針で刺されたように痛んだのは、図星だったからだ。
──お姉ちゃん。
その存在は私にとって、昔から付き纏う、大きな大きな影だった。
「まぁ僕は別に、美織はそのままでいいと思うけどね」
── 一人称が『僕』な、たっちゃんは、時々優しくて男前になる。
思わず嬉しくなって「えへへ」と笑うと、たっちゃんは不機嫌そうに私から目を逸らした。
「……たっちゃん、ありがとう」
「別に、褒めてないけど」
最後に毒づくのも忘れないのが彼らしくて笑ってしまう。
