「……でも、ミオにとってたっちゃんは大切な存在で、たっちゃんにとってもミオはすごく大切な存在ってことは間違いないんだよな?」
初めて、たっちゃんを"たっちゃん"と口に出して呼んだ。
それにたっちゃんは一瞬驚いたような表情をしたけれど、すぐに我に返ると戸惑いながらも「……うん」と、小さく頷いてくれた。
「それなら俺が二人のことをどうこう言うのはおかしいし……そもそも俺はミオの彼氏でもないから、二人のことをとやかく言う立場でもないし」
自嘲気味に笑って意見を述べると、たっちゃんは訝しげに眉根を寄せて押し黙った。
「だけどミオの大切な友達なら、俺にとっても大切な存在だよ」
「アンタにとっても……?」
「うん。だって、好きな子の大切な人なら、俺もその人を大切に思いたいし。もちろん、限界はあるかもしれないけど……でも、やっぱりミオの大切は、俺も大事にしたい」
言い終えたら途端に照れくさくなって、思わず視線をグラスに落としてしまった。
たっちゃんは男で、ミオは女の子だ。
もちろん、自分以上に仲の良い二人にヤキモチをやくこともあるかもしれないけど……。
二人がお互いを大切な友達だと思ってるって言うなら、俺はその言葉を信じたい。



