「だから僕にとって美織は、とても大切な人なんだ。男だから、女だからとか関係なく……僕にとって美織は、世界で一番大切な友達」
大きな瞳は真っすぐにこちらを見ていて、逸らすことはできなかった。
たっちゃんにとって、ミオは大切な存在で……。
何よりも大切な、友達なんだ。
多分、ミオもたっちゃんのことを同じように思ってるんだろう。
だって、たっちゃんのことを話すミオは、いつも楽しそうだから。
「でも僕にとって美織は、恋愛対象とかではないから安心して。一応、僕の恋愛対象は女の子だけど……。でも美織はあくまで、友達として大切ってことだから」
「……うん、わかった」
頷くと、安心感から笑みがこぼれた。
するとそんな俺を見て、たっちゃんが意外そうに目を見開いて固まってしまう。
「わかったって……。え、それだけ?」
「え?」
「アンタは僕が美織のそばにいること、嫌だとか思わないの?」
当たり前のように尋ねられて、今度は俺が目を丸くする番だった。
たっちゃんがミオのそばにいることが、嫌だと思わないのかって……。
それはもちろん、たっちゃんの話を聞くまでは不安で堪らなかったし、全く不安はないと言ったら嘘になる。
ナルに言われたとおり、これからも何をキッカケに、たっちゃんがミオを恋愛対象に見てしまうかわからないし……。
ミオだって、突然たっちゃんを異性として意識するときがくるかもしれない。



