「……って、なに考えてるんだよ」
思わず呟いて、頭をブンブンと横に振った。
ふたりはカップルなんかじゃない。
ただの──友達だ。
特別仲が良い、友達ってだけなんだ。
「美織。アンタ、グズなんだから転ばないように足元気をつけなよ」
「い、言われなくてもわかってるよ……!」
「ふんっ、どーだか」
だけど結局、繋がれたふたりの手は目的のお店に着くまで一度も離れることはなかった。
余裕のない俺はそれを平然と見ていることはできなくて、心にモヤモヤとした思いばかりを募らせてしまった。
✽ ✽ ✽
「わー! すごいっ! 可愛い〜っ」
お客さんがお店のドアを開くたび、カランカラン、という可愛らしいベルの音が店内に響く。
三人で辿り着いたお店は、いかにも女の子が好みそうな小さなカフェだった。
ナチュラルテイストにまとめられた内装と、欧風の小物が置かれた店内は、むさ苦しい男子校に通う自分とは無縁の場所だ。



