「ミオ? どうしたの?」
……俺、また何か変なこと言ったかな?
「あ……、う、あの……」
「ミオ?」
「そそそ、その……っ」
「あーーーっ! もういいから。さっさと行くよ。僕、誰かさんのせいで待ちくたびれて、喉乾いてるの。ほら美織! 茹でダコになってないで、さっさと行くよ!」
だけど、そんなミオの手を半ば強引に掴んだたっちゃんは、ミオを引っ張って改札に向かって歩きだした。
「あ、待って……」
そのまま、さっさと行ってしまうふたりを慌てて追い掛ければ、先を行くたっちゃんが、チラリとこちらを振り返る。
そして、
「──っ!」
今……間違いなく、笑った。
たっちゃんは俺を見て、クスリと、嘲笑うかのような笑みを浮かべたのだ。
だけどすぐに前を向いたたっちゃんは、ミオの手を引いたまま、人混みを縫うようにスルスルと歩いていく。
ミオよりも頭一つほど高い背。
ふたりは手を繋いで歩いていると、どこからどう見ても、仲の良いカップルにしか見えない。



