「あの……それで、ユウリくんのお友達は……?」
先ほど、たっちゃんに尋ねたときとは違い、遠慮がちに聞くミオにまた、チクリと胸の奥が痛んだ。
「……ごめん、誘ったんだけど、急に予定が入っちゃったみたいで」
「そう、なんだ」
「ほんとに、ごめん。これじゃあ……レッスンの実践には、ならないよな?」
思わず目を伏せて、ふたりから目を逸らした。
今日のレッスン内容は、【友達を誘った交流で、更に距離を縮めよう】だ。
だからお互いの仲の良い友達を誘って、四人で遊ぼうって話だったのに……。
「別にぃ、いいんじゃない?」
「え……?」
「だってさぁ、これには、別に何人友達を呼ぶとかまでは書いてないし。どっちかが呼んでれば、とりあえず成立するんじゃない? っていうか、細かいこと気にしてたら、先に進まなそうだし?」
あっけらかんと言ったたっちゃんの手には、ミオの愛読書である恋愛指南書があった。
「次のレッスンの例文は……、"保健室で寝ているところを、ふたりきりにしてくれた親友に感謝…!? 大好きな友達と協力して恋のステップアップをしちゃおう☆"……って、なにこれ。意味わかんない。参考にならない例文すぎるでしょ」
呆れた声色でそう言ったたっちゃんは、恋愛指南書を持ち主であるミオにポイッと手渡した。
……なんか、掴みどころのない人だ。
だけどサバサバしているところとか、発言に迷いのないところは確かに、以前ミオが言っていた"頼りになる"という一面を連想させる。



