「ダメ、足りない。」


甘く囁きトンと壁に優しく追い込まれ
唇を塞がれる。


呼吸が乱れるほど長いキス。


ギュッと腕を掴んだのを合図に
触れていた唇は離れた。


「充電完了。」


ちゃんと見てて。


そう付け加えた斗真は
動けない私を置いて戻ってしまった。


数分その場に座り込み
やっと立ち上がってコートへ戻った。


既に試合は再開していて
30-0という形でうちの学校が
圧勝していた。


見ていれば
斗真と颯人君がバンバン
シュートを決めている。


3人にガードされても
そんなのをものともせず、
颯爽とかわし、颯人君へパスを送る。

その間にガードから抜け出し
一気に3ポイントのラインまで
走ったと思えば、すごくいいタイミングで
颯人君から斗真へまたボールが渡され
斗真の放ったシュートは綺麗な弧を描き
リングに当たることなく
スッと吸い込まれていく。