「「逃さないよ。」」


…よね。
呆気なく捕まる私と莉子。


「えっと…、ごめんね?
どうしても4人で座りたかったの!」


必殺、うるうる瞳で上目遣い。


「じゃあ、俺たちがあの子達
誘惑して、席譲ってもらっても
よかったの?」


指差す先にはギャル二人組。
あの子達は昔から質の悪い
斗真と颯人君のファンだ。


斗真はそれを知ってか知らないかは
分からなかったけど、
私は首を横にぶんぶん振った。


斗真が話しかけなんてしたら
勘違いして、その後…
考えただけで恐ろしい。


「…ごめんね?」


もう一度謝ると


「分かればいいよ。」


フッと笑った顔が近づいてきたかと思えば
視界いっぱいに斗真の綺麗な顔。