「美桜、おいで。」


そんな声で手を広げられたら
きっと誰でもその腕の中に
飛び込むと思う。


私は素直に斗真の横に寝転び
腕の中へすっぽりと収まった。


かと思えば苦しいくらい
抱きしめられる体。


「斗真、ちょっと苦しい。」


そう言っても離れる様子はない。


だから黙ったまま
充分に斗真の温もりを感じた頃―――



「あーー!」


なんか忘れてると思った。


私は斗真の腕からすり抜け
バックの元へ走った。


「私からも!プレゼント!」


1日中持ち歩いていた時計。
すっかり忘れてた。


「くれんの?」


「斗真以外誰にあげるの!」


予想外の言葉に笑っちゃったけど
やっと渡せた。