そう決意したのだけれど、
「ダメだ」
すぐに却下された。
塾からの帰り道、電車の中で報告したのだけれど、菱川先生は眉を潜めて首を横に振った。
「でもこのままでは、しつこく付き纏われそうで」
「まずは塾長に報告しよう」
車内は混雑していたけれど、乱れた髪、眼鏡とくたびれたスーツの先生を誰も見ていない。
「みんな信じてくれますかね?相手はあの崎島ですよ」
考えるだけで溜息が止まらない。
「崎島だろうが、誰であろうが、君の平穏を奪う者は俺が許さないよ」
「先生…」
私の唯一の味方は、どんな状況になっても私を信じてくれる者は、母だけだと思っていた。
所詮、みんな他人だからーーそう割り切っていたから、驚いた。
「明日、塾長に話してみよう」
「はい」
素直に頷けた。
まずは相談してみて、それから考えればいいか。少しだけ身体が軽くなった。


