雨宿り〜大きな傘を君に〜


空いている中央の席に座ると、横から崎島の視線を感じた。

出来るだけ普段通りにしないと。

教室には他の生徒もいて、雑談の声が聞こえてきた。


「おはよう」


「お、おはよう…」


何事もなかったように崎島は後ろの席に座った。


「英語の課題終わった?俺、分からないところあるんだけど」


「どこ?」


良かった。崎島はいつも通りだ。

バッグから英語のテキストを取り出して、崎島の机の上に広げる。この間のことはもう忘れた方がいいよね。うん、忘れることにしよう。


「うん、ここ」


そう思った矢先、テキストを持つ私の手に崎島は触れてきた。


重なった手にビクリと反応してしまった私を無視して、彼はテキストを覗き込む。


「ここ、ちょっと見せて」


崎島は普段通りなのに、テキストから目を離して私を見つめる彼の視線は熱かった。