「ハナちゃーー」 懐かしい呼び名だ。 ハナちゃん、母は私をそう呼んだ。 もしかして天国からお迎えに来てくれた? 期待を込めて顔を上げ、驚いているその瞳とかち合った。 「おまえ…」 「菱川先生…?」 助けを求めた1本の電話。 その電話は、私の人生を変える大きなきっかけとなった。 私はーー大雨の中、傘もささずに こんな私を探し出してくれた、 菱川 托人に、救われたのだ。 これは私と彼の、物語。 雨宿り〜大きな傘を君に〜