雨宿り〜大きな傘を君に〜


しばらくしてランチセットが2つ並んだ。


ふわふわの玉子焼きと、目玉焼きが挟まれたハンバーガー。デザートは産地直送の卵をふんだんに使ったプリンだという。


「美味しい…!」


口の中でとろける玉子。


「本当に美味しいね。家だとここまでふんわり仕上げられないよね」


「菱川先生の玉子焼きも美味しいですけどね」


「ありがと」


昨日はリフレッシュできた楽しい休日だったけれど、今日は緊張しながらもそれ以上に心満たされる日だ。

菱川先生と美味しいものを食べて時間を共有できるなんて、これ程までに幸せなことはない。
少し前の真っ暗な日々に悩んでいた自分に教えてあげたいな。大丈夫だよ、って。


「土曜日はスペシャルランチなんですね」


ハンバーガーを食べながら壁に張られた店内広告に視線を向ける。その詳細は明かされていない代わりに、試食者の感想がいくつも記載されていた。


あ、だから、昨日ーー


「気になるよね。今度は土曜日に来てみようか」


次もあるんだ、先生の言葉に嬉しくなる。


「昨日、先生からの誘いを断ってしまってごめんなさい。先に崎島と…約束してて」


決して菱川先生より崎島を優先していたわけでないと、分かって欲しくて自分から崎島の名前を持ち出した。


「いいよ。俺の相手は空いてる時で大丈夫だから。せっかくできた友達を大切にしてね」


笑って先生は許してくれたけれど、もし次回もまた菱川先生に誘ってもらえることがあるのなら、崎島との約束よりも優先するだろう。


好きな人からの誘いを、優先したい。