雨宿り〜大きな傘を君に〜


"また今度にしようか"
そう言われないことを願って切り出した。

菱川先生と出掛けたい…。

今日は崎島と少し遠出してとても楽しかった。相手が菱川先生であればその何倍も楽しめるはずだ。


「実は気になるお店があるけれどひとりでは入りにくくてね。ランチに付き合ってくれる?」


買い物ではなく、ランチなんだ。その相手に私を選んでくれたことが純粋に嬉しい。
先に有明沙莉さんを誘っていて断られた可能性は考えないことにした。


「もちろんですよ」


「良かった。11時くらいに出掛けようか」


「はい」


私も良かったです。約束を無かったことにされなくて。

有明沙莉さんのことは気になるけれど、緒方さんとのルールを破るつもりはないし、菱川先生と今まで通り在れるならそれでいい。

平穏な生活を捨ててまで冒険したいとは思えない。明日も普通にしていよう。


「菱川先生、おやすみなさい」


「おやすみ。あまり無理しないでね」


最悪な夜になるかと身構えていたけれど、明日のことを考えると自然と笑顔になれた。

やっぱり私は、
菱川先生が好きなんだ。