雨宿り〜大きな傘を君に〜


見慣れない土地を駆け回るうちに雨が降ってきた。

今朝の天気予報では降るなんて言ってなかったのに。首元のマフラーを巻き直す。コートも着てくれば良かったな。


菱川先生に電話を入れれば済むことだけれど、なんて切り出したら良いか分からない。直接会って誠意を見せたいのだ。


しかしそれから1時間、頑張って探したけれど先生には会えず、仕方なく家に戻った。


玄関の鍵を取り出したけれど、この鍵を鍵穴に差し込む権利が私にはあるのだろうか。

先生に嘘をついてしまった私が呑気に帰宅してもいいのだろうか。


マイナスの方向に考え出すと止まらずに、結局、家の中に入らずに近所の公園に向かう。


屋根の下にあるベンチで、寒さを感じながら反省した。思案の行き着く先は、謝っても許されなかった場合のことだ。


どうしよう。
後ろめたい思いでいるなら、先に話しておくべきだった。なぜ先延ばしにしてしまったのだろう。



「雨か…」


顔に当たった雨粒に空を見上げれば、曇天が広がっていた。