雨宿り〜大きな傘を君に〜


ひと通り散策し、電車に乗り込んだ。
少しだけ遠出をして、崎島の言う通り良いリフレッシュになったな。
運動不足も解消されたはず。


崎島が近所の図書館で本を借りる予定があるというため、付いて行った。何か面白い本があったら借りよう。そんな軽い気持ちで。


「次は遊園地のジェットコースターとかどう?」


「無理無理!私、絶叫系乗れない」


「マジ?大野は最後まで涼しい顔して乗ってると思うんだけど」


「なにそのイメージ!」


気兼ねない会話を繰り広げて、図書館に着いたら静かにしないと。そう思っていた矢先、


「あ…」


少し前を歩いていた崎島は足を止めた。


崎島の視線の先を辿り、

息を飲む。



「菱川…」


崎島の呟きに反応したかのように、数秒遅れて菱川先生は私たちに気付いた。

休日スタイルのため眼鏡をかけていない先生の目が見開かれた。

驚いてるよね。だって私はあれから崎島からの過剰な誘いも接触も無いと報告していたから。


「崎島、彼女に近付くなと忠告したはずだが」


すぐさまジャケットに入っていた眼鏡をかけた菱川先生はゆっくりと私たちに近付いてきた。


寝癖もなく、くたびれたスーツでもなく、
菱川先生はダウンとジーンズという出で立ちだったけれど、シンプルながらお洒落に着こなしていた。