気がついたらわたしは泣いていた。 決して同情なんかじゃない。 彼のもつ独特の雰囲気の理由に触れて、彼の大切な思い出に触れて、気持ちが溢れて止まらなかった。 『…素敵な出会いをしてきたんだね。 だから直人くんは素敵な人なんだね。 話してくれて、ありがとう』 こう言うことが精一杯だった。