「ごめんね」


何の謝罪なのかわからないがそう言うと、俺が出したミネラルウオーターを飲み干すと席を立つ。


「この人の分も一緒にお会計してもらえますか?」


マヂかよ、この人。

なぜ、そこまでこんな奴の面倒を見るわけ?

奢らせて、サッサッと帰れば良いのに。

お人好しなのか?

それとも、ただのバカなのか?


「あなたが払う必要なんて、ないと思いますよ。サッサッと帰って、男に払わせれば良いのに」

「優しいんですね」


再び笑みを浮かべた文香さんに、俺はもう心を奪われていた。


「あたし、年下に奢って貰う気もないの。それに、これから付き合う気も更々ない。だから奢るのは、手切れ金みたいなもの。気にしないで」


大人の女性は、みんなこんな価値感なのだろうか?