「白蓮の街に入るには、門番に白蓮の刻印を見せる必要があるんだ。」
 「そうなんだ……。やっぱり僕は無理なんじゃ…….。」
 「けど、それだけなんだ!それだけで、中にはいれば刻印を見せる必要はないし、帰るときも見せなかった。それに、毎日街を行き来する人は門番も覚えているからからチェックはしないで入れる事も多かったんだよ。」
 「そんなことが……でも、刻印がなければ話にはならないんじゃないの?」

 
 レイトはシュリの話を聞き、ますます自分は白蓮の街に入れないとわかり悲しくなってしまう。しかし、シュリの表情はまだキラキラしていた。彼には何かいい案が浮かんでいるようだった。


 「そこで、だ。俺が、これから毎日白蓮の街と黒のスラムを行き来するんだ。そして、門番に顔を覚えてもらう。そしたらその後は簡単だ。大きな荷物として、レイトを運んで、その後は俺が黒の街に戻るんだ。荷物チェックもしている様子はなかったしな。」
 「そんな!無理に決まってるよ!僕の黒の刻印を見られたら、僕はどうなると思っているんだい?」
 「殺されるだろうな。でも、見つからなきゃいいんだ。」
 「………無茶苦茶だよ、シュリ。」


 レイトは、シュリの考えを聞いて、ため息をついた。嘘をついて毎日生活するなんて、どんなに辛い事だろうか。バレる日を想像し、怯えて毎日を過ごすのだ。
 レイトは自分には無理だ、と思った。


 「じゃあ、おまえが黒のスラムに残って白騎士と戦うか?」
 「え………。」
 「雪香さんが言っていただろ。湖からくる異世界の女を見つけて世界を変えろって。だから、湖を見張って、白騎士が来たら、そいつらを倒してでもそいつを奪わなきゃいけないんだ。それに、一人で黒のスラムに残るんだぞ。」
 「………。」
 「白蓮の街では、刻印を見せなくても行き来でにるようなぐらいに、有名にならなきゃいけない。白騎士みたいにな。」
 「僕が白騎士にかるのかい!?」
 「そうだ。そうすれば、白蓮の刻印を見せろとも言われないだろうからな。そして、おまえは図書館にある本を読み、刻印について調べていくんだ。」


 シュリの話は、とても現実味がなくて、レイトにとって信じられない事ばかりだった。
 それでも、シュリの顔は真剣なものでレイトの返事を待っていた。