ベットに押し倒されて、目の前にはどこか遠くを見つめたまま微笑むのレイトの顔がある。両手はレイトの手でしっかりと押さえつけられていて、動くことが出来なかった。


 「水音の気持ちが僕に向いてくれるまで待っていようと思ったんだけど。白蓮の生活は、あまり好きじゃなかったのかな?僕にも振り向いてくれなかっなし。」
 「………誰かの犠牲で成り立ってる生活なんて、幸せでもなんでもないわ。」
 「黒よりも幸せだとは思わないのかな?」
 「思わないわ!私は、白蓮も、そんな考え方をしているレイトも好きになれないわ!」


 その水音の言葉を聞いて、レイトはにっこりとした表情が固まって消え、そして、妖艶な瞳でこちらを見つえた。


 「残念だよ。無理矢理はあんまり、好きじゃないんだけどね。」


 そういうと、レイトは水音に近づき、ゆっくりとキスをした。 
 水音は、目をギュッと閉じてそれに耐えた。



 どうしてこんな風になってしまったのか。
 レイトは、白蓮の刻印に固執しているのはわかっていた。けれども、こんなにも嫌がる水音を無理矢理押し付けて、刻印をつけようとしてしまうだろうか。

 それに、彼は白蓮と黒の刻印の交換を目的としているのだ。彼の言葉と行動の意味が全く理解出来ないのだ。


 白蓮でいたい彼と、黒の刻印の交換を望む彼。
 まったく繋がらないのだ。




 何度か短い口づけをした後、レイトはゆっくりと水音から体を離した。


 「大人しくしていれば、怖いことはしないから。」


 そう言って、レイトが少し手の力を緩めた瞬間。水音は素早く腕を振り払い、彼の体を強く押した。すると、指が引っ掛かったのか、彼が着ていた白のシャツのボタンが外れてしまった。

 真っ赤に染まった白のシャツ。その間から見える、彼の白く引き締まった体。
 そこには、以前水音が「温かい。」と、服越しに触れた刻印の場所。


 「え………なんで………。」
 「………。」



 レイトの白い脇腹には、くっきりと黒の刻印があったのだった。