遠心力でかなりのスピードになり、座っているイスから飛び出てしまうのではないかと、ドキドキしてしまう。
 予想以上の怖さに、水音は悲鳴を上げてしまった。初めてのアトラクションにしては、難易度が高めのものを選んでしまったようだと、今さら後悔してしまう。


 「今は降りられないよ……じゃあ、僕に掴まって。」
 「うん……ありがとう……こ、こわすぎる……。」
 「大丈夫、大丈夫だよ。」


 水音は遠慮なく、レイトに抱きついた。
 すると、レイトはゆっくり呪文をかけるように、そう言いながら頭を撫でてくれた。
 彼の手はいつでも日だまりのようにポカポカしている。手を繋いだり、こうやって頭を撫でられたりすると、いつもそう感じていた。

 そして、彼に初めて抱き締めてもらっている。前は甲冑を着ているときだったのでわからなかった。
 
 彼のお腹からは熱を感じるのだ。
 何故だろう……そんな事を感じながらも、このアトラクションが終わるまで、その熱を感じながら過ごしていた。


 「水音、大丈夫?」
 「はい。レイトさん、ありがとうございます。こんなに怖いブランコは初めてでした。」
 「いつでも抱きついていいからね!」


 そうやって、手を広げるレイトさんを水音は見つめた。


 「じゃあ、もう一回抱きついてもいいですか?」
 「……え?」