そんな事を考えていると、あっという間に夜になった。昨日と同じように夕御飯をつくってシュリを待っていた。きっと、昨日のように帰りは遅いと思い、ゆっくりと作ることにした。

 そして、あと少しで完成する。
 そんな時だった。

 
 突然、玄関の扉が勢いよく開いた。
 入ってきたのは、シュリだった。部屋に入ると、すぐにドアを閉め、そしてその場にずるずるとしゃがみこんでしまった。


 「シュリッ!?」


 水音は驚いてすぐに彼に駆け寄った。
 彼のの洋服はボロボロで、泥や何か切られた後が沢山あった。そして、それは体も同じだった。
 至るところから、血が流れ出ていた。


 「この傷、どうしたの!?酷い…………。」


 水音は、脱衣場から大きな布を持ってきて、彼の傷口に当てようとした。
 彼の左肩の傷がとても深く、そこから大量の血が溢れ出ていたのだ。
 水音はその傷跡を見ると肌かぱっくりと割れているようだった。


 「これ、誰かに斬られた……?シュリ……あなた、何をしてるの?」
 「それは言えないな。」
 「どうしてっっ!!」
 「………おまえに嫌われるから。」


 シュリは、俯くように下を向いていたので、彼の表情を水音は見ることが出来なかった。
 けれども、その声は、とても小さく、泣きそうな声だった。シュリが泣いているのではないか、と水音は思ってしまった。