翌朝、流星さんは昨日と全く同じ時間に家にやって来た。
昨日は乱暴にドアを叩かれてしまったため、今日は7時に目覚ましをセットして起きて待っていたのだけどー…
「悪い、七海。風呂貸して」
昨日は、気にならなかったお酒の匂い。
今日は何故か、全身からお酒の匂いがする流星さん。
そして、濡れた髪。
「…どうしたんですか?」
玄関で靴を脱いでいる流星を、目を見開いて見た。
「帰り際に、お客にシャンパンかけられた」
「何で…」
「仕事終わったらデートしようって言われて、断ったらバシャッて」
「…」
断られたら、シャンパンかけるの?
どういうお客さんなんだ…?
「七海、風呂どこ?」
「え…あ、そこ」
玄関から入って、すぐ側にあるお風呂を指差した。
「サンキュ」
「あ、はい」
って!!
私、普通に答えちゃったんだけど!!!
おかしいよね!!?
勝手に家に来といて、風呂貸してって!!!
「ちょ…流星さ…」
横を通り過ぎ、風呂場に向かって行った流星に声を掛けた時にはもう遅かった。
パタンー
風呂場のドアが閉まり、もう声が届かなくなっていた。



