ピルルー
「ん…」
ピルルー
寝ている流星が眉間にシワを寄せ、目を閉じたままスーツの胸ポケットを探り始めた。
ピルルー
そしてスマホを胸ポケットから出すと、電話に出た。
「…はい。おはようございます」
まだ目は閉じたまま、眉間にシワを寄せ不機嫌そうな声で話している。
「わかってます…はい…18時には行きますよ。…はい」
18時には行くってことは、やっぱり今日も仕事なんだ。
私は、今日バイト休みだけど。
寝たまま話す流星の声を聞きながら、心の中で思った。
「はい。じゃあ、後で…」
そう言うと、流星は電話を切った。
そして、閉じていた目をやっと開けた。
ドキ。
「…」
「…」
真っ直ぐに、流星と目が合ってしまった。
「…今、何時?」
目は開けたが、まだ布団に寝転がったまま流星が聞いてきた。
「もう…17時過ぎです」
布団の横に置いてある目覚まし時計を見せながら、そう答えた。
「は!?」
「!!?」
目覚まし時計をガン見した流星が大きな声を上げ、飛び起きた。
ドキドキ。
ドキドキ。
び…
びっくりしたー…
流星の大きな声に、ドキドキしてしまう。



