「おっさん、人の物に勝手に触ってんじゃねぇよ」
「!」
そう言いながら、暗闇から現れたのは流星。
「てか、女子高生連れ込んで何しようと思ってんの?」
タバコを口に咥え、眉間にシワを寄せて腕を組んでいる。
「…」
…ほっ。
さっきまでこの男の人のことで悩んでいたのに、何故かこの場に現れてくれてほっとする。
「わ…私は別に連れ込むだなんて…ただ、体調がわるそうだったから病院に…」
「無理矢理、腕を掴んでおいてよく言うよ。警察に通報すっぞ」
さっきよりも迫力のある声で流星が言うと、中年男性は掴んでいた腕を離した。
「消えろ」
タバコの煙を口から吐きながら流星が言うと、中年男性は走って逃げて言った。
掴まれていた腕がじんじんと痛む。
ドクン、ドクン。
「…」
ドクン、ドクン。
やっと解放され、心臓の音が全身に響く。
こ…
怖かったー…
腰が抜け、その場に座り込んでしまった。



