「はぁ…はぁ…」
後ろを振り返らずに走り、自宅アパートから100メートル近く離れた場所で立ち止まった。
住宅の塀の影に隠れ、上がった息を整える。
「はぁ…はぁ…はぁー」
来た道をこっそりと覗くと、人影は見えない。
…良かった。
追いかけて来てない。
流星が追いかけて来てないことに、ほっと胸を撫で下ろす。
「はぁー…」
数日前に出会った人に、バイト先まで知られて、ほぼ無理矢理自宅近くまで送られて、さらに家まで知られるなんて、こんな怖いことない。
しかも、No.1ホストだった。
見ず知らずの私に、ぽんっと10万円を渡す男。
バイト先からタクシーで帰る男。
そりゃ、あんな札束を持ってれば、あの人にとってはたった10万円かもしれない。
タクシー代だって、たった2000円かもしれない。
けど私にとっては、どっちも大金。
あの男のお金の使い方が、信じられない。
てか、何で私に関わろとするのかがわからない!!!



