ほぼ無理矢理タクシーに乗せられ、住所を教えろと隣から睨まれ、渋々と住所をタクシーの運転手さんに伝えてから数十分後ー…
バタンー
「毎度ありがとうございました」
自宅である2階建てのアパートに到着し、流星と共にタクシーから降りた。
辺りは暗く、人気がない。
「…」
本当に家まで来ちゃったよ…
てか、バイト先から自宅までタクシーで2000円かかった。
今日のバイト代の半分近くの金額なんだけど。
チラッと隣に立つ流星を見上げると、初めて来た場所なのかキョロキョロと辺りを見渡している。
「で、お前ん家はどこだ?」
「!?」
家まで着いて来る気!?
目をまん丸と見開き、流星の言葉に驚く。
家まで知られると、もっと怖いんですけど!!!
「い…いや……ここまで送ってくださり、ありがとうございました!感謝します!それじゃ」
早口で喋りながら流星に向かってペコッと頭を下げると、目の前にある自宅アパートとは逆の方向に向かってダッシュする。
「あ、おい!!」
さっきはすぐに掴まってしまったから、次は猛ダッシュだと思い、呼び止められているのも気にせず走り出す。



