目を瞑っていたから、何が行われていたかは定かではないが、水が流れるような流れ作業だったのは体感でわかった。
「はい、終わりましたよ!」
「!」
ぽんっと両肩を叩かれ、ビックリして目を開けた。
…え?
なにこれ…?
目の前には鏡に写った自分の姿。
半年に一回しか美容院に行ってなかったボサボサの髪が、ツヤツヤの髪に。
そして、人生一度もメイクをしたことなかったこの顔。
眉毛は綺麗に整えられ、ナチュラルなアイシャドウに唇はほんのりピンク色になっている。
「すごい…」
思わず、口に出てしまった言葉。
私だけど、私じゃないみたいだー…
「ふふふ。流星さん、あちらのお部屋でお待ちですよ。でも、その前に洋服もお着替えしましょうか」
「え?洋服も?」
「はい。七海さんに似合うお洋服を準備してあります。どうぞ」
そう言われると椅子が回転し、次に向かう部屋の方向を指した。
「…はい」
洋服まで…
綺麗になった自分、そしてまだ綺麗になれる自分がいるー…
そう思うとさっきよりは足取りが軽く、店員に促されるまま次の部屋へと向かった。



