そうして誰にも言えないまま、私は学校に通い続け、やがて夏休みを迎え、奈津と遊んだり、田舎に帰ってのんびり過ごしたり、忙しい両親と少しだったけれど一緒に過ごしたりして気が和らいでいた。
だから、休みが終わって迎えた二学期3日目の朝、学校に向かう途中で私は今までにないほどの吐き気をおぼえ、初めてUターンをして家に帰った。
すると、玄関のドアを開けた時「どうしたの?忘れ物?」と珍しく両親がまだ家に居たことへの安心感からなのか、私はその場で吐いてしまった。
慌てて母は私に駆け寄るとそのまま私をトイレへと連れて行った。
背後から父の心配する声と母が私の背中をさする手を感じながら私は何度か吐いた後、母に抱きついて泣いた。
父の手が私の頭に触れ、母の手が私の背中に触れ、二人の「どうした?」の声に私の涙は止まることを知らなかった。
