家に着いた時、ドアを開けるとシンとした真っ暗な世界が待っていた。

玄関には誰の靴もなく、私は自分の靴を脱ぎ、鞄を部屋に投げ入れ、そのまま洗濯機の前で全て脱ぎ、洗濯機に放り込み、洗剤を入れてスイッチを押し、動き出した洗濯機の音を背にお風呂場へと向かった。


何度も髪を洗い、身体を洗っても湖の臭いが取れず、思い出しては涙を流した。


「っ……うぅう…っく…」


叫んでも叫んでもシャワーの音が掻き消していく自分の叫びに溢れる涙を止められずにいた。

ごめんな。の声に、あの人は悪くない。ただ車を必要としてる人に車を出してあげただけ。

大丈夫?の声に、私は頭からシャワーを浴びながら
大丈夫じゃないよ。見てわかるでしょ!!と心の中で叫んだ。

ああああああ!!とただ叫んだ。