どちらかが折れない限りずっと同じ言葉が繰り返されるだけだよ的なことを奈津が口にした。

そんなことは、もちろんわかっていた。

会えば済む。ちょっと会えばいいだけじゃん。という答えが普通なのかもしれないけれど、今の自分には到底考えられない普通だった。


聞きたいけれど……


「じゃまたね~」


奈津が玄関で私に告げた時、奈津の後ろに広がるオレンジ色の夕焼け空を目に一歩後ろに下がった私を見て奈津は「大丈夫?」と眉毛を八の字にして私を見た。


「大丈夫…」と言いながら手を振って奈津を見送った私は、閉まっていくドアの向こうに見えた夕陽がドアが閉まってからも目に焼き付いていたせいでその場にしゃがみこんでしまった。


出たくない。


"いけいけし~ら~か~み~あはははは"




「……うっ……」