名前も、クラスも、部活に入ってるかどうかも、友人関係も、彼女がいるかどうかも、何もわからないままだと言うから驚きだった。

どうしてわからないままかというと、顔を知らないからだと奈津は言った。

わかっているのは学年が2年生で先輩ということと、数学は好きじゃないが親友は数学が好きらしいということ。

後は、、、


「ずっと耳に残ってる声…ぐらいかな……」


そう話す奈津の表情は、一気に恋する乙女になっていて可愛さが増したことを奈津に話すと、両手をブンブン振りながら真っ赤な顔で否定した。


ずっと残ってる好きな人の声…か……

そういうのいいな。恋してる感じがする。
私もそんなの感じてみたいななんて思いながら自分の耳に残ってるのはコウの歌声だけだと思い、ということは私はコウに恋してるでいいのかな?なんて心で呟いて笑えた。

好きだけど、大好きだけど、恋とはやっぱり違う気がした。