いつもなら「トイレ借りるよー」なんて言いながらトイレのドアを開ける親友が今日は寄り道することもせず私の部屋に着いた。


「あれ?トイレは?」

「後でする。それよりちょっと話しあるから座って」

「はい…」


部屋のドアを閉めてテーブルの上に親友から手渡された白い某有名ドーナッツ屋さんのドーナッツが入った箱を置くと、すぐさま親友が「邪魔」と言いながらその箱を畳の上に置いた。


「で?話しって何?」

「実はさ…今日学校でナンパされたの」

「誰が?」

「私が」

「誰に?」

「先輩に」

「だから誰よ?」

「た・ち・ば・な・せ・ん・ぱ・い・に」


たちばなせんぱい。
たちばなせんぱい。
たちばなせんぱい……



いや、誰やねん。